2003-10-01から1ヶ月間の記事一覧

路上で売るもの

レモネードを売る少年少女、それを温かく見守る地域の大人、かの国々の原風景の一つである。懐かしい郷愁をもたらし、資本主義の原則を実感する大人への通過儀式なのだろう。 妖しげな物品を売る子供、それを操る大人、かの国に限ることのない負の構図となる…

同一性保持権

著作権法第二十条(同一性保持権) 著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとする。 2 前項の規定は、次の各号のいずれかに該当する改変については、適用しない。 (中略)…

老人と神

「あぁ、神よ。全知全能なる神よ。どうか姿を現してくだされ。この哀れな老人の願いを叶えてくだされ。あぁ神よ」 「貴方が死んだなどと不埒な事を言う輩はもうおりません。もう誰もいないのです。もう誰もいない、そう誰もいない・・・。多分この私が最後の…

ごりっぱな本

毎日毎日、僕らは本屋の棚に置かれていく。出版不況という言葉が生まれてから幾年が流れたか、もう忘れた。それでも飽きることなく出され続ける同胞。本屋には多くの人間どもが集まり、僕らを眺め摘み撫で回す。そんな同胞、その軽さ故に直ぐに消え去る同胞…

無と有との狭間で

「名は体を表す」と聞く。無農薬は、農薬のなんたるかが曖昧になるも、有農薬ではないとの判断がなされる。害虫駆除の薬品、各種肥料、これらがみな農薬とする。全ての農薬が体に悪いのか、それは解らない。 今まさに、無農薬が人間の健康のために推奨され、…

関西弁の猫

「にゃ、にゃ」 「にゃ〜、にゃ〜お」 「にゃ〜、にゃ」 「ちょっと、あんた何しているの?。大丈夫?」 「にゃ・・!!。あっ・・逃げた。おかしいなぁ、ここらの猫は愛想が悪い」 「何言ってんのよ。野良猫なんてそんなものよ。見知らぬ人間に簡単に慣れない…

汚された本

あぁ、今日も借りられなかった。全くいつになったら貸してくれるんだろ。和孝の奴、お兄ちゃんに貸したまま返ってこないなんて・・・、全くいい加減だな。こんな風に僕が居間で嘆いていると、玄関から声が飛び込んできた。姉が帰ってきたのである。 「絶対、…

右ウィンカー

「ねぇ、後ろの車変だわ。いつまでも右ウインカーを出している」 ふと後ろを見てみると、トラックが一台、確かに右ウインカーを出している。 「あれって何?。『どけ!』って事?」 「そうかも・・・でもおかしいなぁ。どけと言われても・・・」 「そうよね…

都の名前

多くの人々が生活している都市は、それぞれ特有の雰囲気を漂わせている。花の都、水の都、永遠の都、、天空都市、魔都、と様々に形容される都市、生き物の如く変容し定着し、また変化する。都市自体の名前も然り、別称も然り、これらはそこに住まう人々の歴…

コップの中の水

今年の夏はおかしかった。雨ばかり降り、晴れた日などは数えるほど、いわゆる冷夏というやつだ。最新鋭のスーパーコンピューターを駆使した天気予報も大いなる自然の前には全くの無力であり、「信じる人は掬われる」という古の格言を思い起こされるほどであ…

チャットと電話との狭間で

チャットというのはどういう物なの?。もともと日本語には無い言葉、外来語?、コンピュータ用語?、ネット言葉?、昔の井戸端会議みたいなものですか?。 この世界にはチャットと呼ばれている物が多くありますよ・・ね。自動更新する掲示板のような物、カラ…

宇宙がもたらすもの

「博士、大変です。大陸から弾道ミサイルが発射されました」と政府からの第一報を知らせる助手。 (まだまだだな、研究者たる者、この程度のことで慌ててはいけないのだよ) 「着弾予想地点は不明、計算が追いつきません」 (そういえば世界最初の電子式コンピ…

電子のお手紙

e-mailとは送りっぱなしのシステム、宛先不在だとエラーが帰ってくることも多いが、何時届くのか、その保証はない。「今メール送ったんだけど、届いてる?」との確認電話は今となっては懐かしい笑い話・・なのか。 最近では「開封通知」なるオプションもある…

米国表記は?

かの国では独立の精神が旺盛であり、当然のごとく地方自治体の権限が強い。各州には憲法があり軍隊がある。故にかの国を合州国と呼ぶのか。州には国家と異なる事情があり、事情に見合った規範で物事が動いているに違いない。故にかの国の消防法は州法となる…

聡明なる粗忽者

かの八兵衛は本当に粗忽者なのだろうか。確かに「うっかり」ではある。しかし単なる粗忽者を、あの水戸光圀が諸国漫遊の旅に連れて行くだろうか。水戸藩の正式な家臣である「助さん・格さん」、諜報担当の「弥七・お銀・飛猿」、八兵衛は・・・、単なる下働…

毒を食らわば・・・

人は神々より自然界を支配する権利を与えられた。そう信ずる人々は、林を畑とし、森を炭とし、川をダムにし、山を鉱山にし、そして荒ぶる神々を自らの秩序に組み込こんだ。 農業、それは世界最初の自然破壊、それは生物を改造する行為、人に優しかった技術。…

失われる情報

歴史は累々と重ねられ突き進んでいく。そこに乗る者はその意識もなく、ただ暮らし、ただ記録し、ただ消えていく。太古の情報は失われ、断片のみが細々と発掘される。文字の発明は多くの利点をもたらしたが、それさえも情報伝達の完全性を保証するものではな…

謎の11桁

「さて問題、貴方にも付けられている11桁のコード、この桁って多くない?。謎だわ」 「な、なんだよ突然に・・・、どうでもいいじゃないか」 「1億そこらしかいないのに変よ」 「これはだな、100億人台まで対応して・・・ってことは、世界統一の野望か、や…

禁じられた遊び

人は禁止されればされるほど、禁を破りたくなる生き物。それはいつの日からなのか。神代の昔から語り次がれる物語、開けることを禁じられ、幾重にも張り巡らされた封印を巡る物語がある。人は罪悪を恐れるが故に、長きにわたり大切に頑なに守ってしまう生き…

神は死んだ

ウサギは青年と一緒に暮らしていた。青年は神への信仰がとても篤く、慎み深い生活を送っていた。あまり刺激のない生活にウサギは少々退屈でもあったが、青年が毎日話しかけてくれるので寂しくはなかった。夜が来れば朝が来る。今日も同じように始まる・・・…

渡れない

「片寄れぇ、片寄れ」「片寄れぇ、片寄れ」、長い行列が続きます。「片寄れぇ、片寄れ」「片寄れぇ、片寄れ」、行列の先頭では毛槍らしきものが華やかに舞い、背負った箱がゆるゆると揺らされていたりと、なかなか見せてくれます。中程には数々の武具、馬や…

朝三暮四

シャル君が勤めている狙公社は毎年業績が悪く、それでも大過なく過ごせたのは公社ゆえなのです。しかし、近年国民の目が厳しく、不採算事業体の統廃合が進められ、更には独立法人化まで迫られていました。このままでは整理の対象になると考えたお偉いさんは…