ごりっぱな本

 毎日毎日、僕らは本屋の棚に置かれていく。出版不況という言葉が生まれてから幾年が流れたか、もう忘れた。それでも飽きることなく出され続ける同胞。本屋には多くの人間どもが集まり、僕らを眺め摘み撫で回す。そんな同胞、その軽さ故に直ぐに消え去る同胞、いつでも本屋には同じだけの同胞で溢れかえっている。

 そんな中でやたらと重い奴らもいる。硬い紙で覆われて少し上等なものを身に纏う奴ら、どっと山積みに置かれたかと思えば無くなってくる。存在感だけはある同胞、彼らはどうしているか。

 風の噂で聞いた。あるものは嫌われているとか、あるものはなにやら薄っぺらい機械の中に刷り込まれているとか。もう同胞ではない同胞、再び会える日。判るだろうか。

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