私的複製の罠

著作権法第二十一条(複製権)
 著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。

著作権法第二十三条(公衆送信権等)
 著作者は、その著作物について、公衆送信を行う権利を専有する。

著作権法第三十条(私的使用のための複製)
 著作権の目的となつている著作物は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用することを目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。
   (中略)
2 私的使用を目的として、デジタル方式の録音又は録画の機能を有する機器であつて政令で定めるものにより、当該機器によるデジタル方式の録音又は録画の用に供される記録媒体であつて政令で定めるものに録音又は録画を行う者は、相当な額の補償金を著作権者に支払わなければならない。

 この質問にある対象は
1.著作物を私的目的以外に著作権者に無断で複製を行う
2.複製物を著作権者に無断で公衆送信する
3.公衆送信された複製物を受信する(受信物)
4.受信物を私的目的で複製する
の要件で成り立っている。

 ここで1並びに2は明確な著作権違法行為であるが、3は明確ではなく、4は触法行為とは思えないのである。

 昔から著作権法は、複製物を作る行為・人物を対象にしており、複製物を(譲渡・)所有する行為・人物は相手にされていないのである。これは違法な複製作成者か所有者のどちらかに注力して取り締まれば、権利が保護されるとの考えがあり、一般に所有者よりも作成者の方が少数で、効率的な取り締まりができると考えられたためである。

 4の所行は所有が触法行為ではないため、少なくとも違法でない物を私的に複製しても同法では問題に出来ない。ここで複製する装置・媒体がデジタルであるのならば、相当の補償金を支払わなくてはならないが、アナログではその必要もないのである。

 では3の所行は?。これも同じように送信者と受信者とどちらかで、少ないと思える送信者のみを取り締まりの対象にしている。しかしながら、受信によりそのまま著作物を見たり聞いたりする分には受信者は触法行為を問われないが、受信により複製物を作成するとなると話が異なってくる。この行為、違法に送信された違法複製物を私的に複製する行為が第三十条の精神に適合するものか、寡聞にして知らない。

http://www.hatena.ne.jp/1069255215