河童かっぱぁ

日本語と似ている他国語の事は時折話題になる。古代ヘブライ語との類似性より実はナザレのイエスは・・・、このようなお話を聞かれた方もいるだろう。また、英語を学習していくと出てくる「犬寝る(ケンネル)=kennel」に驚かれた方もいるのだろう。実は河童もそうなのである。

そもそも河童は日本土着の産物ではなく、仏教の伝来とともに渡来人が伝えてきたものである。河童を外国語風にすると、ふと馴染みの音になることに気づく。河童、カッパ、カッパァ・・・元々の読みは判らぬが、発祥の地から西へ西へ・・・大西洋を渡り太平洋を渡ったそれは、現代英語ではCopper(銅)となった。

この銅は加工性が良く、寺社仏閣の屋根に多く用いられているのはご存じの通りである。現代社会とは異なり古代・中世における寺社の権勢は強く、その建築物に必要不可欠な銅は確保すべき最重要な戦略物質であったことは想像に容易い。

この銅は鉱山技術の稚拙な時代においては、他の金属鉱石と同様に湖沼・河川において(鉱山から流出・堆積したものが)採掘されており、その場所は最重要戦略地域となる。つまり、時の権力者が富・権力を独占する為に、民衆や他の勢力を近づけまいとする工夫が施されることになる。それが河童を生み出す遠因になったのであろう。
 ※現代でも鉱山は重要戦略地域である。
 ※他の金属にも類型の伝承がある。大太法師や火男、朱砂王


そして銅は最初は赤銅色、そして月日が経つ内に表面は緑青に変化し、得も言われぬ緑色に、伝え聞く河童の皮膚の色になる。この緑青には毒性があると信じられており、いやカッパァには毒があると信じさせることで、ますますの秘匿を計ったのであろう。

また、実際に間違って服用した場合は嘔吐や下痢、けいれん、溶血などを引き起こしたかもしれない。これが、河童に尻子玉を抜かれたと評する原因になったとしても、あながち間違いではないだろう。化学文明が発達した現在においては緑青は無害であり、ヒ素等の未精製物質が主因であるらしいことは判っても、当時はあの緑色のカッパァにやられたと思いこんでしまったのであろう。  ※近代では鉱毒事件として流域の住民・環境を破壊しており、やはりカッパァは怖いのである

現代人においても化学嫌いな人に化学的に解説しても理解に乏しくなりがち、当時の人々には科学の概念も乏しく擬人化手法によりその危険性、「産地に近づくと権力者によって処罰される」や「毒性」を伝承していくのは有意である。かくしてカッパァは河童となったのである。


ところで、胡瓜の原産地は何処であろう。胡瓜はその字から判るように胡国が原産地とされている。この胡国は中央アジア(ペルシア〜インド)にあったされるオアシス国家である。そこから東西に分かれ、砂漠を越えシルクロードを通って中国・朝鮮半島を経て日本に伝来してきたのである。

この胡瓜は90%以上が水分で、残りはビタミンA・B群・Cや、カルシウム・カリウム・鉄などのミネラル、食物繊維をバランス良く含んでる。味はともかく砂漠を越えるのには格好の食物であったに違いない。銅の技術を持った渡来人もパリパリと食して旅してきたのであろう。日本ではあまり食されなかった胡瓜は、それ故に渡来人(とその技術)と強く印象づけられたに違いない。

カッパァが鉄を嫌う理由も世界的観点が見るとよくわかる。紀元前の話であるが、銅の時代(新石器時代)から青銅の時代にかけて銅の文化は隆盛を誇り、それを利用した国は栄えたが、やがて鉄の文化の前に駆逐され討ち滅ぼされる事になる。それに伴い銅技術者も冷遇され、その座を鉄技術者に取って代わられる事になったのである。その記憶が無意識にも鉄を避けさせる事となったのであろう。

そう、河童は胡瓜好き鉄嫌いでなのある。

http://www.hatena.ne.jp/1103974759