あの壺

 ある日、壺を見つけた。「あの壺は・・・良いものだ」という声にひかれ、その壺(100万円)をカード払いで購入してしまった。ふと我に返ると、実は1,000円くらいではないのかという後悔の念が沸々とわき上がる。

 本当のところどうなのだろう。そもそも「あの壺」は、地上に存在するのか、月にあるのか、それとも消えてなくなったのか定かではない・・・、などと現実逃避している場合でない。この壺は確かに私の目の前にある。そしてこのままでは確実に私の口座から100万円が消えてしまう。これは、大きな問題だ。

 そうだクーリングオフというのがあると聞いたことがある。これだ、「私は賢いな」・・などと言っている場合ではない。期限内に書面で解約しなくてはならないのだ。これでどうだ。


 「先日は高価な壺をお買い求め頂きましてありがとうございます。お客様がお申し出に成られましたクーリングオフの件ですが、本件は訪問販売ではなくお客様自身が私どもの店舗にてお買い求め頂いた商品ですので、対象外となっております。あしからずご了承くださいますよう、お願いいたします」


 な、なんとそうなのか?。これでは100万円が消えてしまう。何か策は、策はないものか・・・。


 「尚、クーリングオフに寄らずに解約することもできます。お客様がお買い求めになりました高価な壺ですが、どうしてもご不要になられたのでしたら、誠に遺憾ながら解約に応じさせて頂きます。その際には、まことに済みませんが、違約金をお支払いください。金額は、お求めになられた壺を当店までお返し頂いた日を解約日といたしまして、契約日から解約日までの日数に、当社では行っている同種の壺のレンタル料1万円/日を掛け合わせた額になります」


 ・・・、今日までに10日間経過している。てことは、10万円!?。今日持って行けば10万円、明日だと11万円、明後日は12万円・・・、あぁぁぁぁ。金がない。


 「ど〜するぅ♪。○○○ルゥ」   ・・・って借りらるのかよ。

http://www.hatena.ne.jp/1068177409