盛りつけられた料理

 「はぁ〜い、出来たわよ。おねぇさま特製の夕飯、心して召し上がれ」

 今日は両親が出かけているので姉と二人きり、あぁ憂鬱。また何を作ってくれるのだろうか?。前回はさんざん時間かけたわりには失敗して、なんでカップラーメンなんかを夕ご飯に食べないといけないのだろう。店屋物を取ろうとしたら、プライドに関わるとかで却下するなんて。武士は食わねど・・・ってがらじゃないのに・・・。あぁ、今日はなんだ。コンビニ弁当か何かかぁ・・・。

 テーブルに並べられた料理の数々、唐揚げにサラダに刺身、白に青のお皿に盛りつけられている。何かまともそう。でも油断は禁物、この間はお風呂をピカピカに掃除したまでは良かったけれど、その後お湯を入れているのを忘れて、湯船一杯までさんざん溢れさせて・・、もうまるで映画の一シーンのよう!!。誰からも苦情が来ないのは幸いだったけど、最後まで何が起こるのか解らないのが、さすがお姉様。気を付けていかないとな。

 「ほら、はやく席について。食べてよ」

 おそるおそる、うん食べられる。かなり美味しいという訳ではないがまずまずのできである。

 「お姉ちゃん、料理できるようになったの。おいしいよ」
 「ふふふ」

 なんだ、なんだ?。

 「このお皿知ってる?。いいお皿でしょ」
 「確か高いお皿だったよね。もらい物だけど・・・なんとか言ってたお皿・・、そんなの使って怒られない?」

 「あら大丈夫よ、食器は使うためにあるのよ。このお皿はね、ロイヤルコペンハーゲンという由緒ある洋食器なの。いい食器を使うと料理も映えるでしょ。もっと美味しくなるのよ。見た目の美しさが味を一層際だたせるのね」

 だから食べられる味になったのか、と納得してしまう。

 「それに、後かたづけは豊の仕事だもの。もし割ったら、うんと怒られるのは豊だもの」
 「えぇ〜、きたない。何で僕が・・・」
 「働かざる者食うべからず。もう食べちゃったんだから仕事しなさいよ。わかった!!」
 「私はお風呂入れておくから、片づけといてね、わかった?」

 すたすたと行ってしまう。ここで逆らっても事態は悪化するだけ、ようは慎重に割らなければよいのである。全くいつも使っている食器でいいのに、たまにだったらラップでもかけて盛りつければ、簡単なのに・・・。全く、コペンハーゲンだかの食器を使いたかっただけなんだからなぁ。と、ここである事に気づいた。

 台所の片隅のゴミ箱に無造作に入れられた物体、白いトレー、よくスーパーなんかにある奴だ。お姉ちゃんの料理、正体見たり枯れ尾花といった所か。それにしても全く無駄なことをしたものだ。まぁ、この真実を暴きたてるか否や、決めるのは・・・また僕か。

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