人の噂も七十五日

ふと悪辣に思考してみると心底困窮する輩がいないことに気づく。

この問題は毛鼠国にある無いはずの地域間格差・階級間格差に端を発している。そしてその根底には易姓革命がある。この毛鼠国を既定する思想は、末期統治者を恐怖に陥れ、虐げられる人民の希望となる。故に統治者は現実を眩ませる必要があり、また人民側も最初の直接攻撃者を避けようとし、当面は間接的に統治者に弾圧されない形で発露する。

一方、間接攻撃の対象にされた民山羊国の事情はいかなものだろうか。民山羊国の政治的最大関心事は世界最大規模の民間金融機関を誕生させることであり、これにより世界中のお金を制約なしにかき集め、破綻的ともいえる財政を立て直すことにある。これは親分筋の絶滅猛牛国の手管と同根で輪転機を回せばいくらでもの環境を創りたいだけでなのである。本来注視されねばならない議論の行方は、よく判らない買収劇やらで影が薄く、この愛国的な問題で更に消し飛びそうである。これはある人たちには幸いである。このような状態の中、メンツを重視する方々にとっては神頼みは必須、弱腰を奇想させる中止は採択できなくなる。そしてこれはかの人にとっては有利に働く。

毛鼠国の資本家階級にとっては、民山羊国の製品が拒絶されるのは好ましいことである。例えそれが毛鼠国の人民が実質的な生産者であったとしても無関心である。自分の利益が増えれば笑いが止まらないのである。そもそも毛鼠国で販売される民山羊国製品の内、どれだけが民山羊国のみで作り出された産品なのだろうか。民山羊国の国内向けの製品ですら、世界各国、特に毛鼠国周辺で造られているのに、名目的には民山羊国製でも実質は毛鼠国(及び周辺国)製・・・、毛鼠国(及び周辺国)の労働者の仕事はこうして減じられる。さすれば、労働者が町に溢れ、資本主義の原則に従って、良質な労働者の賃金を抑制することができる。

また名目的とは言え民山羊国の製品、売上が減れば利益も減る。でもこれは既定範囲か。世界の大生産地である毛鼠国沿岸部、賃金の高騰は無視できないほど、この辺でブレーキをかけないと天井知らずになる。世界経済も無限のキャパがあるはずもなく、そろそろ一休みの予感。でもでも、建前かもしれないが毛鼠国は労働者の国、労働者に不利になる事はしにくい。でも、労働者が勝手に休んでしまえばこっちのもの、その事実は将来を縛る武器になる。その武器を得たのは民山羊国の資本家階級、元は取れる。

斯くして、毛鼠国の人民は憂さを晴らせ、毛鼠国の支配階級は人民の目を欺き、毛鼠国の資本家階級は市場利益を手に入れる。民山羊国の為政者は我の目的を希薄化せし、民山羊国の資本家階級は毛鼠国の呪縛から逃れ、・・・民山羊国の人民はヒステリックか無関心か、そして特には問題なしにする。それが庶民の悲しい知恵なのである。


こう考えてみると、すべて鼠がらみお話にできるのかと知って、まぁその程度かと採用はしませんでした。


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